医療関係者の方へ

地域精神科身体合併症救急連携事業について


~精神科と一般科のつながりが生む安心を~


当院は2016年から東京都の事業である「地域精神科身体合併症救急連携事業」に参画しています。この取り組みでは、精神科と一般科の医療機関が連携し、患者様が必要な治療にスムーズにつながれる体制づくりを行っています。
たとえば、普段は精神科に通っている方がけがや体の病気になったときや、一般科に通っている方がこころの不調を感じたときなど、「どこに相談したらよいのか」「受け入れてもらえるのか」と迷うことがあります。
そんなとき、精神科と一般科があらかじめ「顔の見える関係」を築き、双方の診療内容や対応体制を理解しあっていれば、患者さまの状態に応じた受け入れ先がすぐに判断ができ、連絡から受診までの流れが円滑になるため、患者さまの不安や負担を軽減することができます。
当院では精神科の立場から、地域の一般科病院や他の精神科病院と情報を共有しながら、患者様が「心と体の両方」を安心して治療できるような環境づくりに取り組んでおります。 そして、ご本人・ご家族の「困ったとき」にしっかりと寄り添い、地域全体で支える医療のかたちを目指してまいります。


【1】ご相談窓口について


精神科の相談室には、精神疾患に精通した看護師や、法制度・生活支援に関する知識を持つ精神保健福祉士(PSW)が在籍しています。
主に医療や福祉、地域生活をつなぐ「橋渡し役」として、精神障害のある方やご家族の生活支援、関係機関・多職種との連携などを行っています。




【2】ご相談時にお伺いする内容について


1.現在の精神症状について
いつ頃から、どのような精神状態がみられるかをお伺いします。
精神科への相談が必要と思われる状態としては、意識障害、幻覚・妄想、精神運動興奮、自殺念慮・自傷、アルコール・物質依存、認知症周辺症状、徘徊行動などが挙げられます。

2.これまでの受診歴について
精神科や心療内科への通院・入院歴の有無をお伺いします。現在かかりつけの医療機関がある場合は、治療方針や処方内容などについて情報提供をお願いすることがあります。

3.ご家族・支援者の状況について
ご家族の有無や同行の可否、ご本人へのご意見などもお伺いします。
ご本人のご様子をより正確に把握するため、ご家族や支援者から見た状態についても確認します。医療保護入院の可能性がある場合は、ご家族の同行や意向の確認が必要になります。
※医療保護入院とは、患者様ご本人が治療の必要性を理解しにくい場合に、ご家族などの同意と医師の判断により行われる入院です。

4.身体疾患がある場合の対応について
身体疾患のある方は、治療の必要性や急変時の迅速かつ適切な対応が重要になります。 精神科単科病院では、重篤な身体疾患への対応が難しい場合があるため、精神科での入院加療が可能な身体状況か確認させていただきます。

5.閉鎖病棟での入院について
精神科病院では、患者様の安全確保のために病棟出入り口に施錠を行う「閉鎖病棟」での入院となる場合があります。その際は、ご本人やご家族にあらかじめ説明をさせていただきます。




【3】ご家族など(キーパーソン)が必要な理由


1.ご本人の的確な情報提供者として、ご本人に不利益が生じないため、医療保護入院の同意者として必要です。
同意者となりうる方は下記の表にてご確認お願いいたします。




【4】入院ができる?できない?


精神保健指定医が診察の結果「入院が必要」と判断しても、病状からご本人の同意が得られない場合は、人権保護の観点から法律に基づき入院手続きを行います。

◯入院できるケース
ご家族などのいずれの方から同行、またはお電話で同意を得られる場合は入院手続きを進めることができます。なお、ご家族などの中でご意見がいくつか挙がる場合には、意見の調整が必要になります。

◯要相談ケース
①ご家族が同意や不同意の意思を示さない場合(判断できない、関わりを避けたい等)市区町村同意による医療保護入院が可能となります。ただし「入院に同意しない」は不同意となり対象外です。
②令和5年4月以降、虐待やDVを行ったご家族等は医療保護入院の同意者から除かれます。加虐が疑われる場合は医療機関へ通報し通報後は同意を求めることができなくなります。

◯入院できないケース
ご家族などにあてはまる者全てが同意を拒否している、また同意者が補助人、内緑の夫・妻、20歳未満の場合は医療保護入院とはなりません。

※精神保健福祉法

(精神保健福祉法より一部抜粋)
精神科病院への入院・行動制限については、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)」に基づいて行われています。これは患者様ご本人の人権を守るためであり、医療上必要だと認められた場合のみ行うことができます。

【1】入院形態


精神科への入院は、ご本人の同意に基づく自発的入院と、同意が得られないときの非自発的入院に分けられます。非自発的入院とは、入院加療が明らかに必要な状況であっても、ご本人の病状によって同意が得られない医療保護入院、行政が介入する措置入院などを指します。


1.任意入院
入院加療の必要性を理解し、患者様ご本人が同意することで成立する入院。

2. 医療保護入院
精神保健指定医の診察の結果、入院加療の必要性があるにも関わらず、患者様ご本人から同意が得られない場合、ご家族などが同意することで成立する入院。

3.措置入院
精神保健指定医2名の診察の結果、自傷他害の恐れがあると認められた場合に、都道府県知事の命令によって成立する入院。

4.応急入院
入院加療の必要性があり、かつ急速を要するが家族と連絡がつかない等の理由で同意を得られない場合に、72時間に限り成立する入院。


【2】行動制限


行動制限は「医療又は保護に欠くことのできない制度」において行います。 ただし、手紙や電話のやり取り、また人権擁護に関する行政機関の職員や弁護士との面会・通話はいかなる場面でも制限できません。

1.隔離
つぎのいずれかに該当する場合、患者様の隔離(患者様ご本人の意思では出ることができない部屋に一人で入室させ、他の患者様から遮断する行動制限)が可能になります。 なお、12時間を超える際は精神保健指定医による診察および指示が必要です。

ア 他の患者様との人間関係を著しく損なう恐れがあり、その行動が症状の経過や予後に悪影響を及ぼす場合。
イ 自殺企図又は自傷行為が切迫している場合。
ウ 他の患者様に対する黒力行為、著しい迷惑行為、または器物破撮行為が認められ、他の方法では防止できない場合。
エ 急性精神運動興奮などにより、不穏、多動、爆発的行動が目立ち、一般病棟での医療又は保護が著しく困難な場合。
オ 身体的合併症を有する患者様について、検査や処置のために隔離が必要な場合。

2.身体拘束
つぎのいずれかに該当する場合、患者様の身体拘束(衣類または綿入り帯などを使用し、一時的に患者様の身体を固定して運動を抑制する行動制限)が可能となります。この際は精神保健指定医による診察および指示が必要です。

ア 自殺企図又は自傷行為が著しく切迫している場合。
イ 多動又は不隠が顕著である場合。
ウ ア又はイのほか精神疾患のために、そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合。


【3】ご家族などの定義


ご本人の的確な情報提供者として、ご本人に不利益が生じないため、医療保護入院の同意者として必要です。また生育歴や家族歴は診断上重要であるため、本人が入院を希望していても、できるだけご家族などの同行をお願いしています。
ここでいう「家族など」とは、ご本人にとってつぎのいずれかに該当する方をいいます。

ア 配偶者
イ 親権を行う者
ウ 扶養義務者
エ 後見人又は保佐人

このうち、扶養義務者とは、民法第877条に規定されている次の方を指します。
①直系血族及び兄弟姉妹
②3親等内の親族で、家庭裁判所において扶養義務者の設定をされた方

ご家族間で入院に関する判断が一致していない場合でも、いずれかのご家族から同意が得られれば医療保護入院は可能ですが、円滑かつ効果的な入院加療実現のため可能な限りご意見をまとめていただきますようお願いいたします。